こんにちは!
住吉区で小児はりをやっているRISA鍼灸院 院長えみすけです。
今朝、Twitterで流れてきた動画があって。
吃音(どもり)がある青年が、通天閣の頂上で、みずからの想いを叫ぶ、という内容でした。
この動画だけでもちょっと胸にくるものがあったのですが、なんと後日談があったようで。
その撮影のあとから、青年はスムーズにしゃべれるようになった、のだとか。
これ、すごいことですよね。
吃音も、チック(身体のどこかが勝手に動いてしまったり、音を鳴らしたりする)も、現象的には似ているとわたしは思っていて。
いずれも、小児はりで対応できる症状だと考えています。
きょうは、わたしの、吃音やチックに関する考え方を書いてみたいと思います。
吃音の西洋医学的所見
吃音とは、「どもる」「なめらかに話すことができない状態」のこと。吃音症、小児期発症流暢障害とも呼ばれます。
100人のうち約5~8人の発症率であり、ほとんどが幼児期に発症するものだそうです。自然に治る場合もありますが、大人になっても吃音の症状が続いている場合もあります。
吃音が出現しやすい場面
- 苦手な発音や言葉を言おうとしたとき
- 過去に、周りに吃音をからかわれたり、嫌な想いをしたことがある
- ちゃん話さなければ、と緊張が強くなったとき
吃音が起こる理由
吃音があるお子さんの頭の中では、たくさんの言葉や感情がひしめきあっています。知っている言葉の数が多いため、常に次の文章を考えながら話していることで、頭の中に出てくる言葉や文章に対して口がついてこれないことが原因です。
吃音はいつまで続く?
吃音のあるお子さんの半数以上は、小学生になるまでに治ることが多いようです。しかしもちろん、この動画の青年のように、大人になっても症状が続いたり、大人になってから発症する方もいます。
吃音の治療方法
- 環境を調整する
- 楽な発話を誘導する
- 直接的な発話訓練をする
- 小児版流暢性形成訓練
治療は、吃音の症状が発現してから日にちが浅いほうが効果を発揮しやすいです。なるべく早めに病院を受診しましょう。言語聴覚士による言葉の訓練を行うのも効果的です。
チックの西洋医学的所見
チックは、急に出現する不随意な「運動」や「音声」が繰り返す障害のこと。
わざとではなく、やるつもりがなくても勝手に動いてしまったり、音を出してしまいます。
5~6歳頃に、「単純運動チック」で発症することが多く、その後は症状が自然に強くなったり弱くなったりと波があります。多くは1年以内に症状が消失する、一過性チック障害とされています。
チックが起こる理由
チックが起きる要因は、実はまだはっきりとは分かっていません。
おうちにいるときに症状が出ることが多いです。注意欠陥多動性障害や強迫性障害に合併して起きることもあるようです。また、発熱、疲労、緊張やストレスなど、体調が悪いときに悪化することもあります。
チックの分類と特徴
チックは「運動性チック」と「音声性チック」に分類され、さらに「単純」と「複雑」のタイプに分けられます。
症状の持続期間が4週間以上1年未満のものを、一過性チックとよびます。一過性チックは、小児はりがとても効果的です。
「運動チック」と「音声チック」の両方が、1年以上みられる場合はトゥレット症候群と呼ばれます。
チックの治療方法
- 心理教育および環境調整
- 認知行動療法
- 薬物療法
- 外科治療
様子を見られることが多いチックですが、本人のはずかしい気持ちや、保護者の不安に対してのアプローチも大切です。学童期は特に、クラスメイトや先生たちの理解もあるとありがたいですね。
吃音やチックの東洋医学的所見
ここまで読んでいただくと、吃音もチックも、
なんで起こるかは、よくわからん
てことがおわかりいただけるかと思います。
わたしの個人的な考えですが、吃音にもチックにも、東洋医学でいう「肝」という臓腑が深くかかわっているはずなんですね。
吃音は、前述のとおり、頭の中でいろいろな言葉がたくさんあふれている状態。また、言葉だけではなく感情が高ぶっている場合もある、というのが冒頭の動画を観てもわかります。
ちょっと話がそれるんですが、うちの長女も、吃音が出たときがあるんです。タイミングとしては、次女が生まれてしばらく経った頃。
当時は、2人の育児のペースがつかめず、毎日必死だったわたし。長女に話しかけられても、「ちょっと待ってな!」と答えることが多くなっていました。
そしたら、長女に、吃音が出ました。
最初はふざけてるんかな?て思ったけど、
「あ、あ、あ、ありがと」とか同じ音を繰り返すので、戸惑いました。そしてなんと、わたしをよぶための「おかあさん」という単語だけ、どうしても言えなくなってしまったんです。
「お、お、お……」
長女も、わたしを呼ぼうとするのですが、めちゃくちゃ苦しそう。声が出ないのか、言葉が出ないのか、そしてそれがなぜなのか、本人にもわからないのです。
顔を真っ赤にして、目をぎゅっとつぶって、
「お、お、お……!!!」
とがんばったあと、長女はワーーッと泣いてしまいました。
「言われへん~!!!!」
これにはおもわず、わたしも涙。
ごめんね、ごめんね、と抱きしめました。
きっとこの子は、やさしい子だから、「おかあさん」って呼びかけるのをためらったんじゃないかなと思ったんです。
お母さん、て話しかけても、わたしが「ちょっと待ってな!」ばっかり言って、あとまわしにするから。お母さんはいつも忙しそうだから。
言っちゃだめ、いまは話しかけちゃだめ、というふうに、3歳の長女なりにがまんをして、その結果が吃音だとしたら、やりきれない。
わたしはそこから、とにかく長女を優先しました。名前を呼ばなくてもアイコンタクトでコミュニケーションをとって、無理に名前をよばなくてもいいようにしました。
そしたら、1か月ぐらいでおさまりました。
子どもも大人も、無理をすると、どこかにひずみがでます。
「肝」は、情緒に深くかかわると同時に、筋肉にも関係するんですが、気持ちをぎゅっとおさえこんだり、緊張してこわばってしまったときに、何らかの影響が筋肉にも及ぶんではないかな、と思っていて。
そこで、小児はりの施術としては、
肝のはたらきをのびやかにして、筋肉への影響を抑えることがポイントだと考えています。
わたしがチック・吃音があるお子さんや保護者さんたちに伝えること
吃音や、チックが出ているお子さんたちの傾向として、ものすごくまじめな、良い子が多いです。
また、週に何日も習い事があったり、ちょっと疲れているかも……というお子さんも。
性格としては、あんまりこれ!といったタイプはなくて、物静かな子もいれば、よくしゃべる子もいます。
だけどみんな、ルールを守ったり、きっちりやりきろうとする子が多いなぁと感じています。
吃音に関しては、もし本人が不安を感じていれば、ゆっくりしゃべって大丈夫であること、ちゃんと聞き取れるし、コミュニケーションがうまくいっていることなどを理解してもらいます。
そして冒頭の動画のように、感じていることを思いっきり発散したり、自分の中から出せるように、サポートします。
チックに関しても少し似ていて、なにかを抑えつけようとしている心の動きがありそうなら、まずはそれを取っ払います。
自由にのびのびして、いつでもすきなときに動かせるよ、という状態になると、わりと症状が軽快するんですね。
性格が良すぎる子には、保護者さんに聞こえないように2人だけで会話をして、普段なかなか言えないことを語ってもらうこともあります。小児はりの場では、何を言っても、どんなことを考えていてもオッケー。
そして吃音もチックも、まわりがあまり過剰に反応しすぎず、症状だけに着目せず、ひとりの人間としてのその子と、つきあいができればいいなと思ってます。
お子さんにも、保護者さんにも、なるべくのんびりした気持ちになってもらえるように、「こうでなきゃだめ!」というのを軽くできるように、お話することが多いです。
長々と書きましたが、吃音もチックも、どちらもメンタルに深い影響を及ぼします。それが原因で、まわりからいじられたり、いやな思いをすることもあるかもしれません。
そんなときは、病院だけではなくて、小児はりという選択肢があることも知ってほしいです。お子さんにだけではなくて、いつも頑張ってくれている、お父さんやお母さんにも、話を聞いてくれる場所が必要です。
RISA鍼灸院では、お子さんの施術は刺さないはりで行っているので、鍼が怖いお子さんでも安心ですよ。
気になることがある方は、ぜひご相談くださいね。
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